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 店舗のファサードに建具が取り付きあとは照明を設置して完成です。
建具は、江津市都野津町にある『まる木工所』の寺井さんにお願いして製作頂きました。

寺井さんは、京都で家具製作に携わり2年前に家族とともに江津の古民家に移住。
元醤油蔵を改装し、そこを家具工房として独立されました。
江津のビジネスプランコンテスト2017の優秀賞も受賞してます。

お願いした建具はファサードの半分を占める約1.5mの大きな引戸。
材料には島根県産材として地松を使ってます。地松は松くい虫等で数を減らし貴重な材料となっています。
特にファサードには木材を見せたく、壁には杉、デッキには桧と3種類の木材を使用。
特に顔となるのがこの引戸です。

こちらの要望をくみ取り製作していただきありがとうございました。

12月に入り、三日間に渡って左官作業を行いました。

左官仕上げは、大きく3つ。

一つ目は、瓦タイル。2つ目は、土壁。3つ目は、漆喰です。

それぞれにおいて江津らしさ、江津の素材として採用しました。

さらに、講師として江津市にある嶋田建築の女性左官職人嶋田さんにお願いしました。

Uターン者でもある嶋田さん。ありがとうございました。




1日目は、各仕上げと和紙仕上共通となる下地作業です。

石膏ボードの継ぎ目のパテ埋めです。

石膏ボードだけは、地域産材とはいきませんでした。

そのほかの材料は、合板、下地材も含めて地域産材です。

嶋田さんのご指導のもと、初めての作業も順調に行うことが出来ました。






さてさて、先ずは瓦タイル貼りから述べます。

左官作業の中でも木部を除く一番下の段を瓦タイルで仕上げます。

江津といえば、焼き物文化。

これも、昔は、都野津層の良質の土が取れ、燃焼度の高い松が豊富だったことから生まれた地域資源です。

まさに江津市のアイディンティティーです。

(瓦も使用しますが、それは後程。)

タイルは元石州陶苑で製造されていた瓦タイルを使用しています。

素材について詳しくは、ブログをご覧ください。





タイルを等間隔にボンドで貼っていきます。

貼り方は数種類のタイルを白色を中心に各自がバランスを考えて作業を進めました。

それから日を跨いで、目地埋め。目地にもこだわり、全体の色合いのバランスが取れるようベージュを採用。テクスチャも色々と試した結果、目地ゴテできれいに納めず、スポンジで拭き上げてザラザラとした仕上げにしてあります。





次は、土壁です。

一昔前には、多くの地域で土壁の家屋も残っていたことでしょう。

今では全国的には、あまり見ることはありませんが・・・

しかし、江津では当たり前のように今でも目にします。

そこに江津らしさを見ることも出来ますが、そこにも問題があります。

土壁は、昔からの江津らしさや日本らしさが感じられる素晴らしい素材ですが、空き家で土壁がボロボロに崩れている光景も多く目にします。

そこで、リノベーションでは土壁をリユースすることにしました。

土壁は、新建材とは違い、手間をかけることで何度も使用することが出来ます。

それにより、江津らしさ、更には、江津市内に残る空き家を資源としてとらえ、土壁を提案します。




パテにより、凹凸を亡くした下地に下塗り材を塗っていきます。

この作業は、漆喰の下地も同じです。

それから、中塗りとして土を一度薄く塗ります。

仕上げ塗りでは、土壁の風合いと強度を上げるために、藁を入れてあります。

昔から使われる技術で藁ももちろん江津産です。

学生に取っては、初めての土壁塗り。

それでいて、2㎝の厚塗りで仕上げます。

今後ヒビが入ることも想定し、ヒビ割れも意匠となるよう厚塗りを行いました。





左官作業の最後は、漆喰です。

漆喰は、江津本町の街並みとして多く使用されている仕上げであり、採用しました。

また、室内が明るくなると考え、上部に使用しています。

仕上げは、均一にきれいに仕上げるのではなくざらつかせ、さらに土壁と同じ藁を中に入れて塗り込んでいます。

それにより、和紙やタイル、土壁などと全体的な統一を図っています。





嶋田さんのご指導で、すべて順調に作業が進みました。

学生にとっても初めての左官作業であり、どこまで仕上げられるか不安なところもありましたが、嶋田さんのご指導と段取りのもと、学生もきれいに仕上げることが出来ました。






ただ、養生のあまく、漆喰のアクが木部についてしまい、一部黒く変色してしまいました。

学生と養生の大切さを痛感した次第です。



江津市波子町に個人でハチミツを作り新たなビジネスを展開しようとしている藤智志さん。

2014年には、江津市ビジネスプランコンテストにも参加し、江津ハチミツプロジェクト5283で優秀賞を取っています。

そんな藤さんが蜜蝋を作って持っていると伺い、頂きに上がりました。



藤さんが育てている蜂は、日本ミツバチと西洋ミツバチ。

ミツバチはほとんど刺したりはしないので、思い切って近くで撮影。

この全体的に黄色い蜂は、西洋ミツバチ。

主に近くの花の蜜を集中的に集める習性があるで主に売られているハチミツは西洋ミツバチです。



続いて、少し黒っぽい蜂が日本ミツバチ。

蜜を求めて数キロ先まで飛んで取ってくるようです。

波子町からだと有福くらいまで飛んでハチミツを取ってくる位の距離。


ですので色んな花の蜜が混じったハチミツになるんだとか。

白い網は、スズメバチよけ。

ミツバチの天敵はスズメバチだそうで数匹で巣が全滅してしまうらしいです。





訪ねたのは、11月初旬。

養蜂の辺りに咲いているのは、セイタカアワダチソウ。

たくさんの蜂が飛び交い、セイタカアワダチソウの花粉のにおいも巣箱から漂ってきます。




今回頂いた蜜蝋は、今年の春に取れた百花蜜で作られた蜜蝋です。

百花蜜とは、主に日本ミツバチが色んな種類の花の蜜が混じったハチミツ。

そんな江津の花からできた貴重な蜜蝋を江津の素材としてリノベーションでは、家具のワックスとして使用します。

江津市内の花からも建築の素材になると考えると自然の恵みには多くの活用方法があることを感じさせてくれます。

またこれらが、一つの市内で手に入れることができるってなかなか無いでしょう。





藤さんの家は、波子駅の真裏。

駅の反対側は、山が広がり非常に環境もよく、このセイタカワダチソウを使って新たなビジネスを計画しているようです。

詳しくは、今年のビジネスプランコンテストで発表予定。


そんな藤さんに蜂やセイタカワダチソウの話を聞いていると1時間以上外でミツバチに囲まれながら立ち話してました。

多くの知識を持ちさらなるビジネスを広げようとしている藤さんです。

ありがとうございました。

猫も二匹いますよ。


日本海に面する江津市。

東に山があれば、西は海に面しています。

そこには、多くの流れ着いた流木があります。



とくに江の川の河口域には多くの流木が流れ着き溜まっています。

海に面する地域では、流木はごみでしかないですが、都会に行くとそれが信じられない値段でインテリアショップで売ってたりします。

使い方によっては、立派な素材となり、その計算できない独特のフォルムはそれ自体が芸術作品にもなりえます。

そんな流木も江津の素材として軍艦ビルリノベーションにかかせません。


ちなみに、海岸だったらどこでも流木があるとは限りません。潮の流れや浜形状や位置などによって多くたまる海岸と全くない海岸があるもんです。

あとは、海水浴場では、整備されているので流木がなかなか見つからなかったりもします。


そんな中、江の川河口の流木の多いこと!

少し古い流木もありますが、あとは、目利き次第です。

ってことで、学生と流木を集めました。

この流木の使い道はまたの機会に


ちなみに、拾ってきた流木の一部は、10月13日に開催されたポリテクカレッジ島根の学園祭でものづくりブースのひとつ『流木アート』の材料としても使いまいました。


色んな流木を使って、小学生から年配の方まで創意工夫でいろんなものを作って楽しんでくました。

海岸に行けば、いくらでもありますよ。皆さんも是非使ってみては。


三角形の部材。これは天井に使用する材料ですが、もともとは長押材です。



長押(なげし)って何?って方も多いと思いますが、昔から和室の壁についている賞状などを飾ったり洗濯物をかけたりしていた断面が三角形のあれです。

最近の和室にはついていなかったり、若い人は見たことがない人もいるかも。

↓↓↓ コレ ↓↓↓


そして、この材料は江津に残る文化を伝統として発展させる取り組みを、スペースデザイン、インテリアデザイン、ファッションデザインを通じて発信し,地域を先導するデザイン集団『Design Office SUKIMONO』から頂きました。

Design Office SUKIMONOでは、古材を再利用して、家具や建物に古材の風合いを活かし、独自の空間を創造しています。



その中でもあまり使わないということで長押材を頂きました。

この頂いた長押材は、ビーラー材ともいい米松の木目の詰まった柾目板。

ちょっとした高級材ってことです。

最近の住宅ではまずお目見えすることがないような木材。

もし、最近の建物だと長押の表面だけ木目がプリントされた建材もあったりします。



今回はこの長押材の形を活かして、リノベーションでは天井に使います。

どう使うかは、もう少し先になりますが、現在学生が放課後も残って、カンナをかけ、穴を掘って仕上げてます。


10月28日(日)

江津ハロウィンナイトでリノベーションの現場を一日限りのフォトブース。

これから作っていく過程で何もない今だからこその空間を使って、住居環境科の後輩達が制作しました。

放課後残って制作した照明や額縁、妖精の羽等を飾りつけし、当日はフォトブースとしてオープンしました。








当日は、島根県立大学のボランティアの学生が案内に入ってくれて、妖精のいるブースの完成!

子供たちや地元の学生たちが「かわいぃー。」ってな感じで写真を撮って楽しんでくれました。








今回は、NPO法人のてごねっと石見さんからお話を頂き、参加できました。

リノベーションの途中でもイベントで使ってもらうのも良いもんですね。

逆にリノベーションの途中だからこと使えたとも言えますが・・・


作業途中の写真も一枚。




普段は、若者の姿もあまり見かけることのない江津駅前ですが、この日は、多くの若者が集い点在するフォトスポットや仮装コンテストなど盛り上がってました。


もちろん、テレビで騒がれているようなことはないですが、商店会のアットホームさと学生ボランティアが中心となって小さい子供から楽しめるイベントでした。






そんなこんなで江津市内で多くの方々と繋がりながら作業も進めていきます。

作業をこなして完成させるだけがこの軍艦ビルリノベーションではないと考えてます。

今回のような活動もその一つとなりました。


いよいよ、現場での下地作業に取り掛かりつつありますが、まだまだ江津市内からの資材の調達は他にもあります。

8月の事だったんですが記事にするのが遅れてしまいました・・・



8月のある日、江津市都野津町のある民家が解体されている現場で昔の土壁がむき出しになっているところを発見。

状態も良さそうでこれは使えると考え、さっそく現場の方に相談。

快くOKを頂き、プラ船とシャベルをもって土壁の土を調達出来ました。



ただし、このまま使うわけにもいかないので一手間、二手間かける必要があります。

まずは、土をハンマーで砕けるまで砕きます。

それからふるいにかけます。

土壁に入っていた小石や藁、砕けない塊を取り除く作業です。




結果、初めの見立て通りの良い土を確保することができました。

この土を使って12月に江津市を中心に活躍されている女性左官職人の嶋田さんのご指導のもと内装の一部を仕上げていきます。


江津市内には、まだまだ昔の古民家が残っていて築100年も珍しくありません。こんな街中に昔の建材が取れる地域は、他にはなかなかないと思っています。

古い空き家などもこのように活用できれば、立派な資源であり、ちょっとしたタイムマシーンのようにも思えてきます。


今回のリノベーションでは、土だけでなく、築100年以上の建物から頂いた今では貴重な地松も使用します。

昔からの素材を活用し、デザインという付加価値を付けてプロジェクトが成功するよう願います。

10月17日

江の川沿いにある『江津市金田ふれいあいセンター』の竹林を訪れ竹を頂きました。





直径約5㎝、長さ80㎝の真竹150本、節を抜いて確保!




竹といえば、江津市内なら至るところで生えており竹害も広まってます。

そのなか、あえての金田ふれあいセンターにお世話になりました。

今回のリノベーションプロジェクトは江津市内の各地に出向くことも目的の一つです。

江津で多く生えている竹は孟宗竹ですが、リノベーションでは真竹を使用、また平地で取りやすく車が入れる場所など考え、4年ほど前にお世話になった金田の竹を仕上げ材として使うことにしました。


また、竹といえば昔から建築には広く使われていた素材。

しかし、新建材や手間がかかるため今では、意匠的に少し使われるだけです。



竹害に困り、竹が増え続ける中山間地域において、竹を素材として使うのは当然です。


2年前には、Bamboo innovationで竹のドームを作ったりしていた時期もあり、ここ金田でも竹のオブジェを作った縁もあります。

江津に来てから何かと竹とは縁を感じますね。



竹はこれから、油抜きして仕上げていきます。

それにしても、竹の節を抜くのに鉄筋ってすごく便利です。

鉄筋の節が竹の節を削ってくれてきれいに抜けますよ。


お世話になりました滝本さん、ありがとうございました。





9月27日、江津市浅利町にある旧石州陶苑、現在母屋はゲストハウス『アサリハウス』となり、工場は『Design Office SUKIMONO』の家具工場となっています。



その工場裏には、旧石州陶苑で製造されていた瓦タイルが山のように捨てられているのである。

B級品で商品にならなかったものなのか、過剰生産だったのかはわからないが、地元の土で石州瓦と同じ作り方の釉薬を施された陶器タイルには間違いない。





磁器タイルのような均一的な製品ではないが、どれ一つとして同じでない不均一のむらのある味わいがとても良い製品である。

竹を切り開き、竹林のなかに埋もれているタイルを選定し、運び出した。

製造過程のタイルは、4つが一つになって焼かれていてるのでそれを一つ毎に割り、土を洗い流す。その後、凹凸をきれいにして内装に使用します。

江津産の素材がまた一つ増えました。



築130年の母屋。現在ゲストハウス『アサリハウス』となっている。

えごま油といてば、α-リノレン酸が豊富に含まれており、がんの発生を抑制、高血圧予防、認知症予防など健康食品としては有名で、100mlで1000円程もする食品であり江津でも栽培され、えごま油として道の駅などで販売されています。




えごま油、一般的にはあまり知られていないかもしれませんが、家具などの塗料としても昔から使われています。

えごま油は乾性油であり木材に塗布すると、木材に浸透し、表面をコーティングすることなく木の木目や風合いを生かし、艶を引き出し水分や紫外線から木材を保護することができる塗料でもあるのです。





江津市の桜江町にある『スプラウト島根』さんに問い合わせてみると、搾油機の試運転に使用した販売できないえごま油を頂けることに!

念のために飲食厳禁とのことですが、機械も同じであればえごまも同じため、市販のえごま油とは違いがないはずです。

それを軍艦ビルリノベーションでは、贅沢にも江津産、正確な場所は水の国の目の前にある畑で栽培されたえごま油を壁の木材のオイルフィニッシュとして使わせて頂きます。





今年のえごまは、7月の豪雨で畑が水没してしまい全滅してしまいました。

来年からまた新たに栽培され、食品とならないえごま油の利用としてまた使えるといいなと思っております。


スプラウト島根安原さん、ありがとうございます。


7月から8月は、夏休みで作業はしていないため、リノベーション何してるの?って聞こえてきそうな今日この頃。

夏休みも終わったので作業始まるのか、とも思っていた方もまだ現場での作業は始まりません。

じゃー何をするのか?


7月には柿しぶを作りましたが、9月に入っての1発目の作業は、和紙の制作です。

ご協力いただいたのは、『石州勝地半紙』の佐々木夫婦

江津市桜江町『風の国』で、室町時代から続く和紙工房です。



かつては、この一帯には6400軒もの工房があり、江戸時代では特別扱いの上納品として石見の産業のひとつでした。

しかし、戦後の高度経済成長における需要の低迷でこの周辺にあった341軒もの工房が石州勝地半紙さんの一軒にまでなってしまいました。

後継者である佐々木氏は、その歴史の重さと技術の伝承して、感動させる和紙を作り続けています。

江津駅前ビルのリノベーションでは、ここで作られる和紙、そして、技術を知るため自ら和紙を漉き、インテリアの仕上げ材として使用します。

その為、夏休みの間に和紙を漉くための和紙漉き器を12個自分達で作り、それに合う舟も現地で制作。

ここまで出来るのもポリテクカレッジだからこそと自画自賛したくなります。



台風も去って、天気もよく佐々木氏の説明も和紙に対する愛がビシビシ伝わってきます。

今回制作する和紙は、楮とネリにはトロロアオイを使用します。

この使用する楮やトロロアオイも佐々木氏自ら栽培しているまさにmade in gotsu。


↑楮の木


↑トロロアオイ




さらにそれだけではないものがここにはあります。

それは楮を蒸すための大きな甑(こしき)

作られてからおよそ130年、多分日本で一番古く大きい甑であろう。

そんな甑で蒸され皮を剥いだ楮と今回は剥いだ表皮もませて素材感を出し、さらにそれを普通の紙の倍の厚みで漉く、なんと贅沢なことか。


↑130年現役の甑


さてさて、漉く大きさも80cm×80cmの大きさ。

佐々木氏のご指導のもと試行錯誤しなが学生達はすごく楽しく作業してました。

それから、脱水のあとは天日干し。

和紙は太陽に当てると白くなり、人とは逆ですね。約1時間半干します。

和紙漉き器から剥がして完成!



少し青みがかった色に楮の表皮がちりばめらめた想像以上の和紙に仕上がりました。

全部で42枚漉きましたが、その頃には、各自が勝手を把握し、流れ作業が自然と学生間でできてました。

さて今回制作した42枚の和紙は天井に使用しますが使い方はまた後日、楽しみにしてください。




これからももうしばらくは素材の調達です。

このプロジェクトを進めながら江津の素材のなんと多いことか!

こんな地域、今の日本そうそうないですよ。


佐々木さん夫婦、ネコちゃんたちありがとうございました。



“雨に濡れる冬枯れの草の色を、和紙にしたい。”自然や季節への感性を、現代の生活の中に復活させる。「石州勝地半紙」の“景色からのものづくり”。 | GO GOTSU!

KACHIJI BANSHI 石 州  勝 地 半 紙 “雨に濡れる冬枯れの草の色を、和紙にしたい。” 自然や季節への感性を、現代の生活の中に復活させる。 「石州勝地半紙」の“景色からのものづくり”。 GO GOTSU special interview #07 Tweet     江津の中心市街地から車で約40分。江津市桜江町長谷地区は、自然豊かな江津市の中でも、さらに山の中にある。ここに、四季がもたらす暮らしのちょっとした変化の中からヒントを得て、ああでもない、こうでもないと和紙と和紙製品の制作に励む夫婦がいる。工房の隣に設けられた販売コーナーには、和紙を使ったランプシェードや名刺入れなどが並んでいる。 和紙の魅力に惹かれ、深く重みある伝統を残したいという思いを持って日々真摯に紙を漉き続けるいっぽうで、現代の生活の中に調和する新しい和紙との暮らし方を提案しようと試行錯誤を続けているのが、石州勝地半紙の佐々木誠・さとみ夫妻だ。 「ちゃかすかぽん」という独特な音を出す紙の漉き方は、誠さんの叔父からの一子相伝ならぬ“異子相伝”。桜江の山に「ちゃかすかぽん」と音を響かせながら、チャレンジを続ける2人に話を聞いた。   歴史を継承しながら、現代の生活に身近なものを   誠:江津市桜江町は、和紙の生産が盛んなまちでした。残念ながら今はうち一軒だけ。歴史の重さや技術を継承して、今の人たちに受け入れてもらえる、感動してもらえる作品づくりを目指しています。原材料づくりから、商品として完成させてお客様に手渡すところまで。薬剤以外はすべて自分たちでつくっています。 もともと美術系の学校でデザインを学び、印刷関係の仕事をしていたんですが、ものを作りたいという想いがずっとあったんです。 そのころに、伝統工芸士で勝地半紙を一人で守り続けていた叔父の原田宏から「やってみないか」と声を掛けてもらって。ちょうど市内に新しくできる施設(工房が所在する複合施設「風の国」)の中に紙漉き工房を設立するということだったので、何かをつくりたいという気持ちで戻ってきました。

GO GOTSU!|山陰の「創造力特区」へ

7月11日、樹幹ネットワークと名人嘉野氏の協力により柿渋作りと郷蔵柿渋の塗り替えを行いました。

中山間地域の田舎だからこそ、昔ながらの知恵と素材が残っているのが江津です。

昔ながらの知恵と素材、人の繋がりで作るのも江津らしさと考え、作れるものはこの地域で作るのがこのリノベーションの活動の一つです。


今回柿渋を取らせていただいたのは、川越地区の島田さんのお庭です。

川越地区は、7月5日からの豪雨で江津市内で一番被害が大きかった地区です。

柿渋の原料となる柿は、渋柿の種類の刀根柿という品種になります。

昔から柿渋の原料として栽培されていましたが、今は使われることもなくあまり見ることのない品種です。

学生6人、庭木の説明を受けながら剪定ばさみや高枝切ばさみを使って刀根柿を採取。

刀根柿の収穫時期は、7月~8月にかけて梅雨が終わってからになります。

ってことで、梅雨明けのこの時期に合わせて採取しました。


袋一杯に採取したあとは、樹幹ネットワークの活動拠点である郷蔵に移動。(車で2~3分)

そこから、ヘタ取り、そして袋に入れて木づちで叩き潰します。それを水に浸して2~3時間待ちます。その待ち時間で、御昼ごはん&柿渋塗りをしました。


御昼ごはんは、地元のおばさまに作っていただいたカレーライスとキュウリ。

器は、隣に生えている竹を割っただけの器。そのまま使えるエコな食器です。使い終わったらそのまま山に返せばなんの問題もありませし、普通の食器よりおいしく感じるものです。

感じるだけでなく実際においしかったですよ。


食事が終わると、郷蔵の柿渋塗り作業です。

今回使用する柿渋は樹幹ネットワークが5年前に仕込んだ5年物の柿渋です。

熟成されるほど柿渋の濃さが増し、この柿渋の残りと今回作った柿渋と混ぜて色を調整し軍艦ビルのリノベーションに使用します。

その為の練習も兼ての作業です。

樹幹ネットワークの方の中には、今回の豪雨で被災した家もあり、少しの時間ですが作業の合間に床下浸水した家の家具を外に運び出す作業のお手伝いもしました。


柿渋作り最後の仕上げです。

水に浸しておいた刀根柿を絞ります。すでに少し土色に変化していました。

これが徐々に赤茶になっていくと思うとワクワクします。

また、柿渋の発酵過程で腐るのを防ぐために茄子をひとかけビンに一緒に入れます。

この茄子もすぐ横の畑でなっている茄子を採取したてのものを使用。

中山間地域ってホントにすぐ近くに活用できる素材があり、感動します!



最後に、嘉野さんが持ってきてくれた柿渋のかご。

昔は、柿渋で塗ることにより防水と耐久性を持たせてたんですね。

そういえば、太平洋戦争時に日本軍が本気で考えていた風船に爆弾を付けて飛ばしアメリカ本土を攻撃しようとした「風船爆弾」。実際は、一つも爆発はしなかったようですが、風船自体は本土まで何個か届いたとか。その風船は、実は和紙と柿渋で作られてたと聞きます。

そういえば、江津といえば和紙です。

9月は和紙を漉きます。その前に和紙剝き器から作りますのでお楽しみに。

いろいろあった充実した一日でした。

嘉野さん、樹幹ネットワークさんありがとうございました。